BGMはもちろんこれ。
そんなわけでNG集です。たくさん準備し、たくさん失敗し、とてもいい経験となりました。大事な記録です。
まずはこの刻印。これは自分のせいではないのですが、一番ヘコんだところです。
今回初めて刻印を入れてみました。ブログのタイトルにもしているこのACEROという単語はお気に入りで屋号にもしようと思っていたのですがなんと同じ市内に同じ名前の革製品ブランドが最近立ち上がったことがわかったのです。それを知ったのが納品前日……。
遠く離れた場所ならともかく同じ市内というのはアカン。ヘタしたら同じ革屋さんで仕入れてるかもしれませんし。泣く泣くこれを屋号にするのはやめようと思います。
そういうことなのでこの刻印は最初で最後、超レアということで説明させていただきました。残念無念。
今後屋号は慎重に慎重を期して十分に検討してから決め、商標登録を済ませてから発表しようと思っています。
刻印入れるのめっちゃ練習して凄くドキドキしながら入れたのに。トホホ…。
続いてはこちら。チラッと書きましたが後胴+フラップとなるパーツは無染色のヌメを染色して使う予定だったところ
、いざ染め始めてみると目立たなかった汚れやら傷やらシワやらが浮き出してきて使いものにならないことがわかりました。
なんとかムラ染め風にしたら使えないかとか、揉み込んでみたらどうだろうかと色々考えたのですが鞄の一番目立つ部分なだけに下手な小細工は通用せず。これは半裁を分割してすいてもらった革で、同じ厚みではもう一つ同じパーツを取る余裕がなく(汚れ・傷の多い革だった)、結局染色済みの革を仕入れることにしました。結果としてとてもきれいな革が届いたのでそこは助かりましたが。
ネットで買った自分が悪いんだけどさ。もうこの店で買うのやめよ。
次はこれ。
ストラップ通しを縫い付けた後、一度裏地を貼り付け、縫い合わせてから全部ひっぺがしたマチ部分、ひっぺがしたストラップ通し(再利用できた)、少し厚かった玉ぶち、裏地を縫いつけた前胴、裏地を縫い付けた前ポケット(これも再利用できた)です。
これも本編でチラッと書きましたが、前銅とマチを縫い合わせる段階になって「これは硬くなりすぎる」「重くなりすぎる」「ひっくり返せなくなるかもしれない」となり作り直すことになるところです。
試作はしていたのですが本製作では試作より密度のある部位を使うので予想以上に硬く・厚くなってしまったのです。
全部自分の見込みの甘さのせいです。
最後がこれ。
ショルダーストラップに不注意でガリっと。これは裏側でしかも通常は見えない部分になるところなのでこのままごめんなさいと説明してお渡しすることも考えたのですが、お渡しした後この鞄を思い出すたびに
「ああ、あそこに傷あるんだよな…見えないけどあるんだよな…。おれが!自分で!付けた傷が!うわあああああああ!!!」
ってなるところを想像したらこれはもうアカンということで作り直しました。
傷をつけてしまったんだから作り直すのは当然といえば当然なのですが一瞬このままでも…と思ってしまった自分を戒めるため、今後同じミスをしないようにするため書き留めておきます。ちなみに1本目は4時間かかったと本編で書きましたが2本目は3時間で出来ました。縫い目も2本目のほうがキレイに出来ましたので結果オーライとしましょう。
収穫点
これたくさんありすぎるので程々にしておきます。
・オーダーでの鞄作りで必要な質問事項・質問をする順番などおおまかな流れがちょっぴりわかった
・革の重さ・硬さに対する意識の重要性がわかった
・想像通りよく似合う鞄ができた
・何より、とても喜んでもらえた
総括
とにかくできることを全部やってやろうと気合を入れて作った本作。失敗もたくさんありましたがそれを失敗のままにしなかったおかげで納得の行くものが出来ました。この時点での技術は出しきれたと思います。ただ、もし同じものをもう一個作れと言われたらこれより良い物が作れる自信はあります。そういう意味では納得はしていても満足はしていないと言えます。
よくモノ作りは満足したら終わりと言いますが、よくわかります。
依頼主様もおそらくですがオーダーでの鞄作りは初めてのことで、ご希望を伝えきれなかった部分や使っていくうちに出てくるご不満な点などがあると思います。もちろん私自身も満足していない部分がたくさんあります。その辺りを明確にし、次の作品作りに活かしていきたいと思います。
この度はご注文いただき誠にありがとうございました。
使用皮革:国産アニリンヌメ(キャメル)1.7mm 国産オイルヌメ(チョコ)2.0mm 国産豚ヌメ(ナチュラル)0.5mm
使用金具:ドイツホック(アンティーク調) ネジ式ギボシ(アンティーク調)頭径5mm
芯材:ガラ紡6mm
染料:コバ部分/クラフト染料 コードバン
糸:橋印ラミー糸16/3 リアック染料ブロンG オレンジ
目打ち:9本目
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